補修ができないマンション・タワーマンションは、欠陥建築である 2019.6.1
ここ10年で、都心部に、雨後の竹の子のように、タワーマンションが次々に建設されました。
タワーマンションが分譲にて販売されたら、「即完売!」という、超人気ぶりでした。
東北の大震災の経験から10年以内である現在、タワーマンションのような高層な建物に住みたいと思う気持ちも理解しがたいですが…
現在では、タワーマンションは、販売しても売れ残る現象となっています。
すでに供給過多という状況と、労働者の給与が減り、住宅ローンを組めないなどという状況が出てきているからです。
タワマンにかかる莫大な修繕費用
タワーマンションは、高い修繕費で有名です。
そもそもマンションを所有すると、管理費や修繕積立費などが、毎月かかります。
エレベーターなど共有部分の管理費、将来の建物の修繕工事のための修繕積立費は、マンションの住人たちで協力しあって負担していきます。
タワーマンションが売り出された際、当然に、修繕積立費が高いのはわかっていたことです。
通常のマンションよりも、タワーマンションは、果てしなく修繕工事が厄介です。
例えば、タワーマンションは、外壁などの修繕工事の際、足場が組めません。
特別にそのタワーマンションのための専用の昇降機を製造して設置して、工事に使用することになります。
その他、最新であった設備(空調・照明・給水など)も、年数が経てば老朽化します。
それらを改修する必要があります。
修繕積立費を安くして売り出した業者
タワーマンションが売り出された当初、「修繕積立費を高くすると売れない」という販売側の心配から、あえて修繕積立費を安くして販売した業者もありました。
そのため「このタワマンは、他のタワマンより修繕積立費が安い!」と、飛びついて購入した人もいると思います。
ところが実際、住み始めたら、管理組合から『修繕積立費の値上げ』の話が出てきました。
修繕積立費を値上げしないと、将来、とても修繕工事ができないからです。
修繕積立費の値上げには、住人の同意が必要です。
反対する住人が多いのならば、値上げはできません。
将来、修繕積立金が足りないということになれば、補修工事をすることは不可能です。
補修工事をすることができない老朽化したタワマンが、あちこちに残る事態となります。
街では、危険なタワマンの存在により、周囲の住人や通行人などに、多大な迷惑をかけることになってしまいます。
建立1400年の塔 『奈良の法隆寺』
世界遺産である、奈良にある法隆寺は、約1400年程前に建てられました。
現存する木造建築物では、世界最古です。
法隆寺は1400年前に建てられて以来、何度も補修工事をしています。
補修工事を何度も施してきているので、1400年間も、無事に建っているのです。
寺社仏閣というのは、補修(修理)することを考えて、建てられています。
古くなった材木などは、宮大工により新しいものと交換され、次の時代へ引き継いでいきます。
法隆寺など寺社仏閣というのは、ただ単に、奇跡的に長年建っているのではありません。
最初から、補修することを考えて、補修しやすいような造りで建てられているのです。
タワーマンションを作った責任は誰?
タワーマンションには、多くの住戸が存在します。
「タワーマンションができると、住人が増える」「若い世代の人口が増えると、税収が増える」という目論見から、国や行政が、こぞってタワーマンションの建設を支援し、許可しました。
確かに、国や行政にとっては、タワーマンションがあることは、利点だらけです。
そして、タワーマンションを建設する業者、販売する不動産会社なども、大儲けしました。
タワーマンションは、比較的狭い土地で、多くの住戸を作ることができます。
タワーマンションの価格も、8000万円や1億円や2億円など、通常のマンションよりも高い値段です。
①1戸あたり高い値段であり、②全戸数も多い、ということは、不動産業者は莫大な利益を得たということです。
また、タワーマンションの販売の仲介をした不動産会社(宅建業)が得た仲介手数料による利益も、莫大な金額になります。
笑った『国・行政』『建設業者・不動産業者』
泣く『タワマンの住人たち』
一方で、憧れのタワーマンションを購入して入居した住人たちには、地獄が待っていました。
管理費や修繕積立費が高いということで、住宅ローン返済も含めて、金銭的に生活が圧迫されてきました。
そこへさらに「本当にタワマンは修繕できるのか?」という不安もあります。
タワーマンションの修繕費用は、その建物にもよりますが、かかると言われている金額は、何十億円~100億円と言われています。
まさに、天井を知らないタワーマンションの修繕費用です。
そのお金は、タワーマンションの住人たちが負担するのです。
高いタワーマンションを購入したのに、高い修繕費までも払わないといけない。
タワーマンションを購入して、大損です。
タワーマンションを購入した住人が、このような地獄に陥ることは、国・行政、建設業者・不動産業者も、わかっていたはずです。
このような危険がわかっていて、タワーマンションを建設することを先導した、アベノミクス、国・行政には、大変な責任があります。
彼らは、責任を負うのでしょうか?
それとも、やはり逃げるでしょうか…
補修や修繕のできない建物こそ、欠陥建築と言う
タワーマンションの他に、築年数の経過した通常のマンションも、大問題になっています。
空き室が多くなり、修繕積立費が不足し、マンションの補修工事ができない状況になっています。
外壁の剥離の現象、コンクリートの劣化、雨漏り、給水設備の破損、照明器具の故障、エレベーターの故障など、あちこちが老朽化して、今すぐにでも補修が必要なのですが、修繕積立金が足りなく、危険な建物の状態でいるしかないマンションも多くなってきました。
このような建物は、住むのに適しません。
住むことが困難な建物です。
補修もできない、危険で住めない建物こそ、『欠陥建築』であると言えます。
世の中には、新築一戸建て物件を購入した者たちが「建具が歪んでいる」とか「フローリングが少し傾斜している」とか、「クロスにシミが出てきた」とか、「ビスの本数が足りない」とか、これらを『欠陥建築だー!』と叫んでいる消費者や悪質な建物調査人がいます。
しかしこれらは、欠陥建築とは言いません。
これらは、大工(職人)による不具合というものなのです。
腕が下手な大工(職人)による工事のために起こった不具合です。
その不具合により、建物に危険を生じるとか、今すぐ倒壊する恐れがあるとかではありません。
不具合を直すためには、住人ご自身が、一部を補修したり交換すれば済む話ですから。